賃貸記事

Mr.リビンマッチが解説する「孤独死への対応」

「Mr.リビンマッチ(旧スマイスター)が解説するリビンマッチ(旧スマイスター)・賃貸管理」今回は「孤独死への対応」です。

ちょっと本日は最近ニュースでもよく聞く、孤独死に対する対応についてまとめてみました。
社会問題でもあるこのテーマについて、重い話題ではございますが取りあげてみました。

孤独死への対応

まず改正民法は、個人が賃貸借契約の保証人になる場合には、保証人が負担する最大限度額、いわゆる極度額を書面などで契約しなければ保証契約は無効になる、というルールを新設しました。

極度額というのは、家賃のほか、家賃滞納の利息や遅延損害金、賃貸借契約から生じる違約金や損害賠償金など、保証債務に関するすべてを含んで最大限保証人が負う可能性のある限度額のことです。
賃貸借契約で個人が保証人になるかどうかは、この極度額を書面などではっきりと示されたうえで判断するように、というのが改正民法のねらいのようです。

保証人の責任で、最もよくあるケースで多いのが家賃滞納によるものです。
長期間の滞納であれば、相当の金額が保証人に請求されることになりますが、ありがちなケースとは言えますので、これを想定したうえで保証の極度額が定められている、というのが一般的です。

しかし家賃滞納以外でも保証人の極度額を定めるうえで考慮すべきことがあります。
通常では想定しないような、損害が与えられる特殊なケースについても考える必要があります。
そのなかで、今回は賃借人が孤独死した場合について考えていきたいと思います。

核家族が増えたことにより、単身の高齢者が賃貸物件に住むことも珍しいことではなくなっています。
それと合わせるように、孤独死が現在増えてきています。
管理する賃貸物件で孤独死が起きる可能性というのは決して0ではありません。
貸し出した部屋の中で賃借人が孤独死するというケースは賃貸借契約を結ぶ段階では想定しませんが、実際に起こり得る話です。

入居者が孤独死された場合には、その賃貸物件に住む人はいなくってしまいますが、契約関係が終了するわけではありません。
賃借人の持っていた、借主としての権利も相続財産に含まれますので、相続人が権利を相続して借主となり、契約は継続していきます。

そのため、部屋の賃料も相続人にそのまま引き継がれますので相続人に請求することになります。
そして貸主側としても、孤独死が発生したという理由で一方的に賃貸借契約を解除することはできません。
相続人との話し合いを経て契約を継続するのか、もしくは解除するのかを決めます。
一般的には孤独死が起きた部屋に住み続けたい、という方はまずいませんので、契約解除自体は滞りなく進むと思われます。

不幸にも遺体発見が遅れ、ある程度の時間が経つと部屋に悪臭や害虫が発生したり、遺体の状態によってはシミによる汚損が起きる場合があります。

そのため、孤独死が発覚した場合には、一刻も早く原状回復のための工事を進めることが重要です。
原状回復工事の費用は新しく賃借人となった相続人か、もしくは連帯保証人に請求することになります。
このようなケースの原状回復には、通常のハウスクリーニングではなく特殊清掃と呼ばれるものが必要となります。

特殊清掃とは、医師によって明確に死因の判断がなされていない「変死体」があった屋内外の汚染除去、感染症予防のための消毒、害虫駆除、室内解体工事など、原状回復を総合的にサポートするサービスです。

特殊清掃は専門性の高い技術が必要なため、ハウスクリーニングよりも費用は高額で、数十万円単位でかかるようです。
ですから、費用の請求をされる相続人にとっては予想外の金額になり、原状回復の支払いを渋る方も中にはいらっしゃるようです。
相続人は、原状回復の義務として特殊清掃の費用は支払わなければならないのですが、実際の支払いを受けるまでには時間がかかってしまうこともあります。

しかし部屋の状態を考慮しますと緊急性は高いので、原状回復はすぐにおこなうべきです。
そのため、相続人や連帯保証人に原状回復の費用を請求して、それが拒まれて支払いを受ける前であっても、先に清掃を進めるようにしましょう。
また部屋の状態を放置していると、周辺に住んでいる入居者からの苦情や損害賠償請求される可能性がありますので、一刻も早い処置が必要となります。

賃貸物件で賃借人が死亡した場合に問題となるのが、次の入居者への告知義務です。
この告知義務というのは、期間が法律で定められているわけではありません。
建物の立地や間取り、また事件の有名度などが考慮されて裁判所で判断されることとなります。

しかし、孤独死というのは発見時には「変死」ですが、検視で異常なしと判断されれば「自然死」という扱いになりますので、原則としては次の入居者への告知義務は発生しません。
自然死というのは誰にでも訪れるものですから心理的瑕疵にはあたらない、という考え方によるものです。

注意しなければならないこととして、遺体や室内の程度状況などが周囲に知れ渡ってしまうと、告知せざるを得ない状況となってしまうことがあります。

異臭騒ぎなどが周囲で噂になれば、その「騒ぎが起こっている」という事実が心理的瑕疵にあたると判断されるケースもあります。
ですから告知義務の点から見ても、原状回復は最優先した方が良いのです。

また、なるべく近隣の方には情報が漏れないようすることも重要な対処です。
なるべく目立たないように静かに対応を進め、花を供える場合でも玄関前ではなく室内に供えるようにしましょう。

孤独死が起きたことで、もし家賃を値下げしなければならなくなった場合には、貸主としてはその減収分の損害賠償請求をしたいという思いもあるでしょう。

しかし、孤独死の場合には損害賠償が認められることはほとんどありません。
例えば、死因が自殺などの場合には損害賠償責任が発生します。

自殺の場合、裁判所の判例では1年間その部屋の賃貸を控え、その後2年間通常の賃料の半額でしか賃貸できないと判断し、家賃2年分(1年分の家賃+半額の家賃2年分)が損害と認められたことがあります。
しかし孤独死は自殺とは違い、前述のとおり自然死ですので故意や過失は認められず、従って損害賠償も認められません。

故人の負債が多い場合には、相続人候補となる方々が皆相続を放棄するという可能性もあります。
そのようなケースではどう対応していくべきなのでしょうか。
連帯保証人がいれば、原状回復の費用は請求することができます。

ただ、連帯保証人がいない場合や相続人が全員相続放棄した場合には、原状回復費用を請求できる相手がいませんので、貸主の負担で行うことになります。

そして、相続人がいなくなったからといって故人の財産はなくなりません。
最終的には国のものになり、その故人の財産は相続財産法人が管理することになります。
原状回復費用を立て替えた貸主は、法律上では、相続財産管理人を選任してその相続財産管理人に請求するという建前になっています。

相続財産管理人を選任するためには予納金として裁判所に100万円を支払わなければなりません。
そのため現実としては、原状回復費用は貸主負担のまま、相続財産管理人を選任しないで契約も解除し、新しい入居者の募集に移ることが多いようです。

このように原状回復費用を自己負担し泣き寝入りとなってしまう場合もありますので、孤独死などの賃借人が死亡した場合に対応した損害保険や、火災保険の特約がありますので加入しておいたほうが安心でしょう。

人口減少の問題を抱えるこれからの日本では、単身高齢者の入居希望も増えるかと思います。
孤独死が起きてもすぐに気づけるように、物件の管理にはより丁寧な心配りが必要となってきます。
孤独死を含めた死亡事故が起こることも賃貸管理のリスクのうちですから、冷静な対応や丁寧なケアが求められることをあらかじめ自覚しておくようにしましょう。

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